導入事例

20年続いたビジネスプロセスを初めてのERP導入で改革。プロジェクト担当者は経営層、外部の税理士、社労士をどのように説得し、プロジェクトに巻き込んだのか?

20年続いたビジネスプロセスを初めてのERP導入で改革。プロジェクト担当者は経営層、外部の税理士、社労士をどのように説得し、プロジェクトに巻き込んだのか?

20年続いたビジネスプロセスを初めてのERP導入で改革。プロジェクト担当者は経営層、外部の税理士、社労士をどのように説得し、プロジェクトに巻き込んだのか?

企業名: 店頭プロモーション、マーケティング業

企業概要:
資本金等:1,000万円
従業員数:約40名

事業内容:各種SPツール・POPの企画・制作・什器設計、健康食品及び美容補助食品の企画、開発および販売、化粧品、医薬品及び医薬部外品の企画・開発および販売、広告表現についてのコンサルティング・講演

当社は20年以上にわたり、店頭プロモーション、マーケティングで実績を積み上げ、大手企業の取引先も多く、安定した経営を行っている。
今後、人員増加、取引先増加が見込まれるため、バックオフィスの体制の再構築が必要となり、これをきっかけとして、ERP導入による全社の生産性向上を目指すこととなった。
20年以上続いた手作業のビジネスプロセスを全社レベルで大きく変える必要があること、初めてのERP導入の意思決定を経営層にしてもらう必要があること、ERP導入プロジェクトを成功させること、これら3つの難題を本プロジェクト担当者は行わなければならない。組織の内部だけでなく、税理士や社労士などの外部との調整も必要であり、初めての未知の領域が大きいERP導入の確実な遂行が課題であった。

課題

  1. 1

    経理事務担当者が一人のため、今後の取引増への対応は難しい
  2. 2

    業務に無駄が多いことは認識しているため、単純な人員増は将来にわたりコスト増になる
  3. 3

    入出金の処理、債権回収管理をエクセルで行っており、時間がかかり、ミスが生じている
  4. 4

    請求漏れ、回収漏れ、支払い間違いが生じていることが喫緊の問題
  5. 5

    月次決算情報が遅く、トータル金額のため分析も難しい
  6. 6

    社内取引を考慮した、部門別損益管理がしたい
  7. 7

    バックオフィス体制の見直しは、経理だけでなく全社のビジネスプロセスの再構築となりリスクが大きい
  8. 8

    ERP導入は初めてであり、不安
  9. 9

    記帳代行すべてを委託している税理士、労務手続き・給与計算を委託している社労士との現業業務との整合性を取りたい

現状把握

当社が、ERPを検討するきっかけとなったのが経理事務の効率化である。まず、当社の経理事務担当者としての主な仕事を整理すると以下の通りであった。

  • 手書きの現金出納帳の作成
  • 支払いの請求書のとりまとめと手作業による支払業務
  • 支払いの請求内容をグループウェアへ書き込み、担当者へ確認依頼
  • 当社発行の請求書から相手先別に売上金額をエクセルに集計
  • 通帳から売上代金の消込のエクセル作成
  • 紙による経費精算申請書のとりまとめと現金精算事務、現金出納帳記入
  • 上記の資料を取りまとめて税理士事務所へ送付
  • 労務関係の書類を取りまとめて社労士へ送付

経理事務としては、手作業と、同じデータから別資料の再作成、バラバラの情報源のとりまとめ作業のため、効率が悪かった。今後取引量が増えると、その不効率によるコスト(時間は)無視できない。
また、経理事務が一人であり、作業自体は単純なものの、標準化されておらず、誰でも代替可能ではないため、企業としてのリスクが高い。
1人で、情報の収集、エクセル作成を手作業で行うため、ミスが発生する。請求漏れ、請求誤り、支払い先誤り、二重払いなどのミスはビジネス上の影響が大きい。
上記の経理事務担当者の業務は、販売プロセス、購買プロセス、経費精算プロセス、人事・労務管理プロセス、給与計算プロセスなどのビジネスプロセスにおける下流の一プロセスである。標準化、自動化を進めるためには、ビジネスプロセス全体を標準化、自動化しなければならない。
当社もその認識から、全社業務を統合管理できるERPの導入を検討することとなった。

解決方法

現状把握でまとめた各課題について、それぞれ以下のように解決した。

並列分散処理可能な組織体制を作ることで根本的解決を図る

経理事務作業をERPで自動化すると同時に、ボトルネックを作らないように、業務分担を全社的に見直し、全社で並列分散処理できるビジネスプロセスを作りなおすことで根本的な解決を図ることとした。並列分散処理できる組織体制にすることで、今後、業務が著しく増加したとしても、経理など一部の部門や担当者に負荷が集中しないため、ビジネスをスケールしやすくなる。
並列分散処理をするにあたり、「全社員の情報共有と」、「権限に応じた情報アクセス制御」が必要となる。特に、並列分散の効果を最大限に発揮するためには、全社員のERP利用が重要である。
オンプレミスのERPでは原理的に高コストとなるため、全社員へのライセンス付与は費用対効果が合わず難しいが、クラウドアーキテクチャのERPであるツバイソは、規模の経済の原理によって、全社員へのライセンス付与が合理的に可能である。
権限に応じた情報アクセス制御は、ツバイソのアカウント毎の細かい権限設定で対応可能である。

業務の一部ではなく、ビジネスプロセスの上流から下流までの全体をERPに乗せることで全社のコストダウンを図る

ビジネスプロセスの上流から下流までをクラウドのERPに乗せることで、全社レベルで自動化、情報共有を容易にし、管理も容易にした。これにより、一部の業務を行う部署や担当者だけでなく、全社員の生産性を上げることで、全社レベルのコストダウンが可能となる。
たとえば、購買プロセスでは、納品書・請求書をもとに購買部門が仕入れや経費の計上を行い、取引先マスタで、支払先ごとの締日、支払サイト、支払元銀行口座情報、支払先銀行口座情報を登録することで、全銀協形式の総合振込データを作成し、財務部門が簡単に振り込みが完了できることとなる。また、経理部門は、個別の支払い金額チェックを省略し、金額的重要性の高い支払いと総額を確認するのみで合理的に正確性を担保することができるようになる。

ビジネスプロセス全体の自動化で、ヒューマンエラーのポイントを減らす

当社は、エクセルを中心とした手作業による事務処理を行っている。そのため、債権債務残高確認などの精度も高くなく、時間もかかっていた。特に支払いのミスが当社としては喫緊の課題と認識していた。
ERPによる自動化、ネットバンキングからのCSVデータ取り込み、入金消込の自動マッチングによって、取引先別の債権残高を容易に把握することができる。クラウドによる情報共有で、経理担当者と営業担当者双方で、債権回収のチェックが可能となり、ミスを減らすことが可能となる。また、支払いについては、上記の購買プロセスをERP上に構築することで、自動化され、ミスを減らすことができる。ツバイソには、組織的経営におけるチェックのノウハウが組み込まれている。

販売プロセス全体をERPで管理する

見積書は全てツバイソで作成することで、 受注、失注をステイタス一元管理し、請求漏れををはじめ、売上計上、債権回収を防ぐことができる。

ERPによる会計処理の自動化と各モジュール間の連携でリアルタイム決算と分析を容易にする

ERP上で、会社の全てのビジネスプロセスを行うことで自動的に会計処理され、リアルタイムにB/S, P/Lが生成される。 ユーザーアカウント毎に設定された部門設定によって簡単に部門別会計も可能となる。
これらのBS,PLの自動化には企業活動全体をMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)に把握するノウハウが必要である。これは、ビジネスプロセス、すなわち財務管理プロセス、販売プロセス、購買プロセス、経費精算プロセス、給与計算プロセス、資産管理プロセスなどに分解し、ERPにこれらのビジネスプロセスを乗せることによって会計処理の網羅性が確保できる。ツバイソはこれらのノウハウをシステム化することにより、リアルタイム決算を可能としている。
リアルタイムの決算が可能となることにより、月次のB/S,P/Lの推移表でトレンドを分析したり、部門別の売上高、原価、販管費、損益を分析することができる。
また、各数値は、ビジネスプロセスの上流まで遡ってトレースすることができる。たとえば、ある月の交通費の著増原因を特定個人の経費精算申請書の明細単位まで追跡することが可能となり、原因分析がその場で可能となる。
各勘定科目の内訳や基礎データもERPの各ビジネスプロセスのモジュールで管理されているため、分析が容易となる。

社内取引を考慮した部門別損益管理(アメーバ経営)

当社は、社内で、制作から営業へ見積もり、請求、売上計上しているが、現状エクセル管理のため精度、スピードに課題があった。また、社内取引による部門別損益と財務会計による損益は整合性を取ることはできなかった。情報の信頼性が高くないため、積極的に経営意思決定や人事評価に活用することは難しかった。
取引先マスタに社内の部門を設定し、適切な部門別会計とビジネスプロセスの設計を行うことで、社内と社外で共通のビジネスプロセスに乗せながらも、社内取引を反映した部門別損益と、全社では社内取引を相殺した適切な損益把握を可能とした。

アジャイル型導入方法論によってERPの導入意思決定、導入プロジェクトを最小のリスクで実施

一般的にERP導入は、高額であり、プロジェクト期間も1年以上の長期にわたる。影響範囲は、バックオフィスの経理だけでなく、むしろフロント(ミドル)への影響が大きい。当社はERP導入が初めてであり、その効果や導入リスクの評価が難しかった。ERP投資の費用対効果を定量的に示すDCF法などのノウハウもなく、各種ERP分析とそれを踏まえた稟議書作成などの時間を十分にとることも難しかった。そのため、経営層に導入意思決定してもらうこと自体が担当者としては困難なミッションであった。
そこで、担当者は、ERPのデモを実施してもらい、金額的、機能的にDCF法などで定量的に分析するまでもなく効果があることを確認したのち、導入前提で担当役員、顧問税理士を交えて再度デモを確認し、主要関係者の意識をそろえた。また、意思決定後、実際の業務が行えないということがないよう、契約前にデモアカウントで機能を詳細に検証した。
さらに、最初から全社員のライセンスを購入せず、主要社員分のみを購入し、導入サポートを受けながら、導入の成否の検証を続けた。主要メンバーのユーザーとレーニング後、1か月ほど実運用し、全社移行可能と判断したのちに、残りの社員のライセンスを購入した。
このように、事前にすべてを検証し、詳細な計画を立てるウォーターフォール型のERP導入ではなく、小さなサイクルで精度を上げていくアジャイル型のERP導入手法を取ることで、リスクを減らして、経営層の意思決定を容易にし、プロジェクトを成功させることができた。

パラレル運用と実証検証を税理士と社労士にも協力してもらう

当社は、経理事務担当者が、記帳に必要な資料を取りまとめて税理士に送付し、税理士が有する会計ソフトに記帳代行してもらっている。当社自身は会計ソフトを持たず、月次の決算資料を受け取る。労務手続き・給与計算も必要資料を社労士に送付し、代行してもらっている。ツバイソはERPであるから、仕訳は自動生成され、決算書も作成される。また、消費税に関する分析も可能であり、申告書も作成可能である。本来はツバイソで自動生成された決算書を税理士にチェックしてもらい、月次、年次の決算を行うのが理想的であるが、20年以上続けてきた方法を税理士も含めて変えることは簡単ではない。これは、労務手続きや給与計算を委託している社労士も同様である。
そこで、 税理士と社労士については、少なくとも一年間は今までの方法で行ってもらうこととした。ただし、今まで紙で作成していた資料は廃止し、ツバイソの基礎データで作業してもらうこととした。これにより追加負担なくパラレル運用が可能となり、ツバイソの処理結果の検証も税理士と社労士と一緒に行えることとなった。全員が新しい方法に慣れ、精度に確証が持てた時期に移行する予定である。

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