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新卒3年目で会社を辞めることについて~意思決定で悩んだときの考え方~

以前、当社でアルバイトをしていた子と飲みました。私の会社にいたときは学生で、今は新卒3年目。いろんな話をしている中で、会社を辞めようと決めたとのことでした。彼の能力、性格は信頼できるし、話を聞くと、そのように考えているのであれば、辞めるのは問題ないと話しました。
少しは私の話が彼の整理に役立ったようで、よかったです。

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辞める理由

一言でいえば、「今の恵まれた環境がずっと続くわけはなく(1)、その会社から社会に出たときに社会で生きていける力を身に着けられるとは思えない(2)」というもの。

(1)確かに、今の恵まれた環境(ゆるい環境)は、会社の仕事・バリュー、社会の変化、競争を考えれば長期的には是正されるものと思います。世の中、特に安泰な環境にいると思考停止する人が多いなか、その事実を分析できているのはGOOD.

(2) これってとても大事。外で生きていけないということは、池のオーナーの言う通りにするか、やむなく外に放流されたら死ぬしかない。つまり、自分自身のこと なのにアンコントロールラブルだということです。そのコントロールできる範囲、程度はどんどん小さくなり、最後は指一本自分の意思では動かせなくなりま す。
無意識に不安、恐怖を感じるときは、実は、アンコントローラブルな状態になりそうなときということが多いと思います。

意思決定で悩む理由

良いことずくめだったら、その意思決定を悩むことはありません。
重大だと思う意思決定には、大体、良いことと悪いことが起きることが予想され、定量的にどっちが多いとは言えないものです。これは、個人でも経営でも同じです。
だから重大だと思うし、悩むのですね。

悩むときのパターンとしては、
1.近い将来はGOODだけど、遠い将来はBADの予感強いケース
2.近い将来はBADだけど、遠い将来はGOODの予感強いケース

今回のケースでは、
会社に残るという意思決定が1で、辞めるという意思決定が2ですね。
近い将来の確度は高く、遠い将来の確度は時期も程度も不確実なので、多くの人は1を選びがちです。
また、通常、積極的な意思決定というより、様子見というか、現状維持というか、消極的な意思決定という形で、何もしないことで1を選ぶことが多く、それは楽です。
しかし、優れた意思決定をする人は、結果論でしかありませんが2でしょう。歴史を見ても。
チャレンジングといわれる意思決定も2です。

意思決定で悩んだ時の考え方

私はこのように考えます。
「近い将来がどうであれ、遠い将来のオプション(選択肢)が減る方がまずい」と。

遠い将来のオプションが減るのは、近い将来が良くてもNG
遠い将来のオプションが増えるのは、近い将来が悪くてもGOOD

今の会社にいたら、当面楽に暮らせるけど、30代中盤以降、もし会社の業績が悪化したり、退職勧奨されたときに、今の会社にしがみつくしか選択肢がないのはNG
給料は減るかもしれないし、新しいことを覚えて忙しくなるかもしれないし、ストレスも増えるかもしれないけど、30代中盤以降で100社の選択肢がある方がGOOD

今、会社経営でお金が必要だからといって、単価が割と良く、今の知識と時間を使えばできる仕事のオファーがあったとしても、ロックインされて、必要ないといわれたときには持っている知識が役立たない世の中になっていたり、経営基盤を増強させることにつながらないのならNG
今がつらくとも、自社サービスを作ったり、競争力、経営基盤の増強につながる仕事を選択する方が将来の選択肢を増やせるのでGOOD

時間価値(Time Value)

若いうちに選択肢を多く持つ方が価値があります。

オプション理論の時間価値のイメージです。
オプション理論の価値は、本源的価値と時間価値からなります。権利行使できる期間が長いほど時間価値が高くなり、本源的価値より大きいこともありますし、本源的価値がないときでもその時間価値によって全体の価値は相当大きなものにもなり得るのです。

人間の場合、会社と異なりタイムリミットがあります。たとえば60歳まで働くのなら、残り時間が35年ある人の方が、残り時間が10年の人よりも時間価値は大きく、選択肢をもつことの意味は非常に大きいのです。

逆に言えば、消極的な意思決定をした結果、選択肢が狭まり、残り時間が少なくなれば、急速に価値が下落するのです。
時間価値については、オプション取引をすると、とてもよくわかります。(おすすめはしませんが)

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ちなみに、私が前職を辞めたのは、彼とは異なる理由です。

代表取締役 CEO 印具 毅雄(イング タケオ)

ツバイソ株式会社

公認会計士、税理士

広島生まれ、福岡育ち。中学生の頃からパソコン、プログラミングが好きで、N88-BASICやマシン語に親しむ。大学、大学院では、AI関連技術のニューラルネットワーク、ファジィシステムとともに遺伝的アルゴリズムの改善研究をC言語で行う。 1999年、修士(芸術工学)。日本知能情報ファジィ学会論文賞受賞「単峰性関数当てはめによるGA(遺伝的アルゴリズム)収束高速化」
インターネットベンチャーを立ち上げるべく、経営の勉強のために公認会計士を取得(公認会計士二次試験2000年合格、登録番号19193)。監査法人トーマツ(Deloitte)を経て、2006年にブルドッグウォータ株式会社の創業、事業開始。 2015年、同社よりRobotERP®ツバイソ事業を会社分割し、ツバイソ株式会社を設立。

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