全社の生産性を上げたいときに、最初に取り組むべきこと
マネジメント層の方であれば、誰しも「生産性を上げたい」と考えていると思います。
あるいは、「うちの会社は無駄な作業が多いのではないか?」「無駄な作業を減らしたい」と思っているでしょう。
何から取り組んだらいいのか?
しかし、生産性を上げるために何から取り組んだらよいかは、考えると堂々巡りになって、結局「とりあえずまわってるから今後にしよう」となりがちです。
1日、1週間、1か月の様々な業務プロセスに無駄が潜んでいるのは分かっても、その量は膨大です。
また、業務プロセスはお互いに依存していますので、ある仕事を最適化することで、他の仕事の効率が下がることもあります。
部分最適ではなく全体最適を行う必要があります。全体最適の観点で、膨大な無駄から効果の高いポイントに絞って効率化する必要があります。
実際に営業部長、経理部長、総務部長、製造部長それぞれに「生産性を上げよ」と指示をしても、何をもって生産性が上がったと評価できるのか、どこまでやるべきかが明確でないと、実行不可能です。
社長や、特別プロジェクトのリーダーが場当たり的に現場に口出してもうまく行かないでしょう。
そんなことを考えると、何から手を付けたらよいかわからなくなってきますね。
生産性UPの手順
生産性を上げるためにする手順は、以下の2段階で行うとよいです。
- 今の仕事を少ない時間でやる(普通、急に売り上げは増やせない)
- 余った時間で将来の売り上げにつながる仕事をやる
将来の売り上げにつながる仕事として、
- 事業計画や戦略策定に時間をかけられていなかったのであれば、そこに時間を使う
- マーケティングへの時間の投資をする
- 既存顧客のリテンションに時間を使う
- クロスセル、アップセルに時間を使う
- 社員教育をする
- モチベーションが上がるキャリアプラン、KPI設定をし、KPI測定、人事評価をしっかり行う
- 社員が辞めてもあわてない余裕のある組織体制を作る
- リフレッシュする
最初にすべきは、全体最適のための適切な目標設定
全社の生産性を上げるために最初にすべきことは適切な目標設定です。
上記のステップ1「今の仕事を少ない時間でやる」といっても、具体的な目標がないと、いつまでに、何を、どの程度やればよいか分かりません。
具体的な目標としては、経験則的には、
「6か月以内に3営業日で月次決算を完了させる体制を作る」
という目標が、ちょうどよいです。
理由は、
- 月次決算は、販売プロセス、製造プロセス、労務・給与計算プロセスなど、会社の全業務プロセスに依存するから、すべての無駄をバランスよくなくす必要がある
- どの会社にもある業務だから、うちは特別という言い訳ができない
- 3営業日月次決算ができる会社は少なく、その生産性はそのまま競争優位となる
- 3営業日の月次決算はストレッチ目標だが、不可能ではない
- 期限が決まっている
- 達成できたかどうかが一目瞭然
- 3営業日月次決算情報は、そのままマネジメントに役立つ
仮に無駄削減10%、付加価値増10%で今までより生産性が20%向上すれば、5年複利で5年後には250%もの差になって現れます。
後回しにする理由はないので、
「6か月以内に3営業日で月次決算を完了させる体制を作る」
是非、チャレンジしてみてください。
ツバイソ株式会社
代表取締役 CEO 印具 毅雄(イング タケオ)
公認会計士、税理士
広島生まれ、福岡育ち。中学生の頃からパソコン、プログラミングが好きで、N88-BASICやマシン語に親しむ。大学、大学院では、AI関連技術のニューラルネットワーク、ファジィシステムとともに遺伝的アルゴリズムの改善研究をC言語で行う。
1999年、修士(芸術工学)。日本知能情報ファジィ学会論文賞受賞「単峰性関数当てはめによるGA(遺伝的アルゴリズム)収束高速化」
インターネットベンチャーを立ち上げるべく、経営の勉強のために公認会計士を取得(公認会計士二次試験2000年合格、登録番号19193)。監査法人トーマツ(Deloitte)を経て、2006年にブルドッグウォータ株式会社の創業、事業開始。
2015年、同社よりRobotERP®ツバイソ事業を会社分割し、ツバイソ株式会社を設立。