導入事例

建設業・工事業のERP ── 長い工期のあいだ、工事ごとの採算を見えたままにする

長い工期のあいだ工事ごとの採算を見えたままにする、建設業・工事業のERP
長い工期のあいだ工事ごとの採算を見えたままにする、建設業・工事業のERP

建設や工事の会社では、1件の工期が数か月から数年に及びます。その間ずっと原価が積み上がり続け、採算が確定するのは引渡しのあとという形になりがちです。この記事は、建設業・工事業で繰り返し現れる管理の課題と、RobotERPツバイソでそれをどう扱うかを、機能に即してまとめたものです。専門工事、設備工事、内装・リフォーム、電気・空調工事、プラント工事のいずれでも、長い工期と協力会社への発注で採算が決まる点は共通します。個別のお客様に触れず、この業種に共通する型として扱います。

なお、この記事で扱うのは工事ごとの原価管理・収益計上・管理会計の部分です。施工管理や図面、法定台帳の作成そのものは対象ではありません。


この業種で繰り返し起きる5つの課題

長い工期・協力会社への発注・出来高という、建設業で採算が見えにくくなる3つの入り口
長い工期・協力会社への発注・出来高という、建設業で採算が見えにくくなる3つの入り口

1. 工期が長く、採算が分かるのが引渡しのあとになる

着工から引渡しまでの間、原価は積み上がり続けます。ところがその途中でいくら使ったのかを正確に押さえる仕組みが無ければ、赤字が分かるのは最後です。工期が年度をまたぐ場合、期末の決算でも進行中の工事をどう評価するかという問題が残ります。

2. 協力会社への発注が多く、原価が届くのが遅い

工種ごとに別の会社へ発注します。請求書が届いて初めて原価が確定するため、月末の締めの直前まで工事の原価が固まりません。追加や変更が入ると、どの発注のどの部分が増えたのかを後から突き合わせる作業が発生します。

3. 追加・変更工事が、契約とずれたまま進む

工事が始まってから、仕様の変更や追加の依頼が入ります。現場では動いているのに、契約金額の変更が後追いになることが起こります。その結果、請求できる金額と実際に掛かった原価の対応が崩れます。

4. 進捗の把握が、人の申告に頼っている

出来高や進捗率を現場の担当者が申告する運用では、申告の基準が人によって変わります。進捗が実態より高く報告されれば、採算の見通しもそのぶん甘くなります。

5. 工事ごとの原価が、会社全体の数字とつながらない

工事別の原価を表計算で管理し、決算は会計システムで作る。この形だと、両者の数字が一致しているかを確かめる手立てがありません。役員会で見ている工事別の採算と、期末の損益が別々に動きます。


RobotERPツバイソでの解決方法

原価が後から届く状態と、案件の下に集まり続ける状態の対比。採算が分かる時期が変わる
原価が後から届く状態と、案件の下に集まり続ける状態の対比。採算が分かる時期が変わる

工事を案件として持ち、原価の集計単位を分ける

ツバイソPSAは、工事を案件として持ち、その下に制作指図という原価の集計単位を置きます。1つの工事を工種や工区で分けて原価を見たい場合は、制作指図を分けて置けます。

工事の原価が直接材料費・直接労務費・直接経費・製造間接費の4つの費目から積み上がる構造
工事の原価が直接材料費・直接労務費・直接経費・製造間接費の4つの費目から積み上がる構造

制作指図には原価計算票が自動で作られ、そこへ自社の工数・外注先からの検収・経費・間接費の配賦が集まります。実績原価は、工数を入力し検収を上げた時点で工事の下に積まれます。発注した時点では、まだ実績ではなく予定として同じ工事の下に並びます。

外注の発注を、工事の下に置く

調達プロセスは調達依頼・見積依頼・発注・検収・仕入経費・支払・支払予定まで、売上と同じ案件の下に一続きで並びます。発注が工事に紐づいているため、外注費を後から工事へ割り付ける作業が要りません。

発注残も同じ場所で見えます。発注した金額のうち、まだ検収していない分がいくらあるか ── これが工事(案件)の単位で分かると、原価の見通しが請求書の到着を待たずに立ちます。将来の工程の分も含む数字なので、そのまま未払額として読まないようにします。

外注先とのやりとりは、電子取引で相手側に登録していただく

外注の管理が重くなる理由の多くは、相手から届いた紙やPDFを自社システムへ再入力する工程が、毎月残っていることにあります。ツバイソ電子取引を使うと、外注先は見積・納品・請求・稼働実績をご自身で登録でき、その内容は発注と工事に紐づいた状態で入ってきます。相手側にご登録いただければ、受け取る側の作業は確認と承認に寄せられます。

電子取引でやりとりした書類は、そのままデータとして保存されます。電子帳簿保存法が求める電子取引データの保存にも、この流れの中で対応しています。

進行基準の売上を、原価の進捗から計算する

長期の工事で、一定の期間にわたり充足される履行義務として原価比例法で収益を認識する場合(従来の工事進行基準にあたる扱い)、ツバイソPSAは進捗率を積み上がった実績原価と予想原価から算出します。制作指図の収益認識を進行基準に設定すると、取引価格に進捗率を掛けた金額が期中の売上として計上されます。

ここが実務上の分かれ目です。工数と検収を入力する運用が回っていれば、進捗の根拠は現場の申告から、実行予算と実績原価の対比へ移ります。進捗の精度は実行予算の精度で決まる、という分かりやすい形になります。

期中の計上は進行基準専用の商品・サービスで行い、同額を納品予定日に戻して相殺します。最終の検収で、受注明細の本体にあたる契約金額を確定させます。予想原価は見積の段階で制作予算として置くため、契約と予算と実績が同じ工事の下に並びます。

追加・変更を、契約の側にも反映する

追加や変更が決まったら、契約の側にも反映します。承認済みの受注は項目がロックされるため、変更分を別の受注として立てるか、承認を解除してから直す形になります。受注を承認すると納品が自動で作られ、納品日と検収日を入れて締めると、請求と売上が自動で作られます。入金予定は請求から起こします。契約金額の変更と、請求する金額と、計上する売上が、同じ根拠から出ます。


管理会計 ── 見積を作った時点で、月次の損益計画が立つ

月ごとに予定と実績の棒が並ぶ管理会計の図。予定は見積・受注・発注から自動で計上され、実績は売上・工数・仕入経費から入る
月ごとに予定と実績の棒が並ぶ管理会計の図。予定は見積・受注・発注から自動で計上され、実績は売上・工数・仕入経費から入る

見積を保存すると、管理会計に「予定」として計上される

見積の明細を保存すると、その内容が管理会計へ自動で計上されます。商品・サービスのマスタに収益の計上根拠と勘定の対応を設定しておくことが前提です。しかも収益の計上根拠に応じて、どの月に計上するかまで決まります。

  • 完成時に計上する工事 ── 引渡し予定日の月に、見積金額をそのまま
  • 月額の保守・管理業務 ── 計上開始予定日から、金額を期間の月数で割った額を毎月
  • 数量が確定してから計上する契約 ── 見込金額を期間で割った額を毎月

売上だけでなく原価も同時に計上されます。つまり見積を作った時点で、月ごとの売上・原価・粗利の見通しが立ちます。表計算で損益計画を組み直す作業が要りません。

予定と実績が、同じ表の同じ軸に並ぶ

案件が進むにつれて、受注・納品・発注・検収が「予定」として積み上がります。そして売上・仕入経費・工数・経費精算が「実績」として、同じ表に入ります。

並ぶ軸も同じです ── 計上月・案件・取引先・部門・商品サービス、そして自社で定義したセグメント。予定と実績が同じ軸に並ぶため、予実の比較に集計作業が要りません。

見えるのは売上高・売上原価・売上総利益・営業利益です。制作原価は材料費・労務費・経費(外注費を含む)・製造間接費に分かれるので、「自社の手間が想定より掛かっている」のか「外注が膨らんでいる」のかを切り分けられます。

案件の予実と、部門の予実

案件には粗利予算・総費用予算・粗利率予算を設定でき、月次推移でどの月からずれ始めたかまで追えます。原価の予算は制作指図の単位で、制作予算・調達予算・制作間接費予算に分けて置けます。

部門の単位では、予算プラン(当初予算・修正予算といった複数の版)を登録しておくと、実績の積み上がりと予算を合わせて当期の着地を見通せます。

受注の見込み

案件ごとに受注の目標金額と確度を設定でき、期待受注額(目標×確度)が自動で算定されます。受注プロセスへ進んだ案件は確度100%として扱うため、確度が更新されないまま残っている案件を一覧で識別できます。


会計まで一気通貫であることの意味

業務プロセスの上に財務会計と管理会計が積み上がり、上流の入力が決算まで通る構造
業務プロセスの上に財務会計と管理会計が積み上がり、上流の入力が決算まで通る構造

ツバイソPSAはツバイソERPとAPIで連携し、債権債務管理・財務会計・管理会計まで一続きにつながります。案件の数字と決算の数字が同じ基盤から得られるため、管理会計のために別途集計する工程が要りません。

工期が年度をまたぐこの業種では、進行中の工事がいくら分の原価を抱えているかが、そのまま決算の数字になります。上流の入力が会計まで一続きであれば、原価の集計と決算の数字が別々に動きません。

ツバイソPSAはSalesforceの基本機能を含む形でご提供しており、Salesforceを別途ご購入いただく必要はありません。商談から先の業務プロセスが同じ基盤の上に乗ります。


AIから自然言語で扱える

レポートをあらかじめ用意する方法と、問いの形でAIに聞く方法の対比
レポートをあらかじめ用意する方法と、問いの形でAIに聞く方法の対比

2026年に提供を開始したTsubaiso Intelligenceは、画面を介さず、お使いのAIから自然言語でRobotERPツバイソを操作できる仕組みです。

前の節で見た管理会計の表は、そのままAIに問える対象になります。「いま原価が予算を超えている工事は」「この外注先への発注残は」「来月の出来高の見込みは」といった問いに、AIが実データを引いて答えます。

レポートをあらかじめ用意しておく必要がありません。予実の表は軸が多く、見たい切り口はそのつど変わります。問いの形で聞けることは、この点が大きな違いです。

工事の本数が多く、進行中の案件が常に並行しているこの業種では、見たい切り口がその日の状況で変わります。工事別、外注先別、工種別 ── 見たい軸の数だけレポートを用意するのは現実的ではありません。


利用者の評価

RobotERPツバイソを実際にお使いの方が投稿した評価を、ERP・基幹システムの口コミ・評判でご覧いただけます。工事や制作のように、受注した案件ごとに原価を積み上げて採算を見る会社からのレビューです。


検討の進め方

要件一覧・選定基準・ROI算定・デモ・トライアル・PoCという6段階の検討の流れ
要件一覧・選定基準・ROI算定・デモ・トライアル・PoCという6段階の検討の流れ

基幹システムは、一度導入すると長期にわたって使い続けるものです。その重さに見合う検討ができるよう、順序と道具を用意しています。製品のご説明に入る前に、次の6段階の進め方をご用意しています。

  1. 要件一覧で、要件をまとめる
    当社が導入実績から体系化した740項目以上の要件一覧に、「必要性」と「現在の課題」を記入していただきます。工事別の原価管理と協力会社への発注に関わる要件を先に見ていただくと、進みが早くなります。当社は各項目の対応区分と説明を回答し、標準機能との適合率を算定してお返しします。記入の進め方についてもご相談を承ります。ご提供はNDA締結後に承ります。
  2. ERPの選定基準をつくる
    提案を比較するための評価ガイド、RFPテンプレート、採点シートをお渡しします。用語の定義を最初に揃えることで、各社の回答が同じ粒度で並びます。とくに重要なのが「カスタマイズをどの方式で実装するか」という軸です。同じ「カスタマイズできます」という回答でも、製品の中核を書き換えるのか、プラットフォームの上の設定として持つのかで、長期の総所有コストは大きく変わります。この違いが評価に載るかどうかで、選定の質が決まります。
  3. ROIを算定する
    要件一覧で「必要性が高く、いま課題がある」とされた項目には、損益改善のシナリオが紐づいています。そこから年間の改善見込み額を積み上げ、初期・運用・将来のコストと突き合わせて、累計ROI・回収期間・NPV・IRRを算定します。稟議に載せられる形の根拠が揃います。
  4. デモで、実際の動きを見る
    実際の証憑や、現在ご利用中のExcelをご提供いただき、AIがデータを整理し、取り込む様子をご覧いただきます。カタログではなく、お客様のデータで実際の動きを確かめていただく場です。
  5. トライアルで、自分たちで触る
    30日間、実際の操作をお試しいただけます。お申し込みの手続きについても、あわせてご案内します。
  6. PoCで、小さく確かめてから決める
    実データで効果を検証します。ここで作った設定とデータは、そのまま本番へ引き継げます。PoCの結果を確認したうえで本格導入の形を選べるため、判断材料が揃った状態で意思決定していただけます。

この順序には理由があります。要件が固まっていなければ選定基準は作れず、選定基準がなければROIの前提が置けません。順序を踏むほど、後続の判断が確かなものになります。

基幹システムの入れ替えは、日常の業務改善とは頻度も影響範囲も異なる意思決定です。当社がここで担っているのは、製品の説明よりも前に、何をどの順で決めるか、部門をまたぐ要件をどう束ねるか、社内の合意をどう積み上げるかという進め方そのものです。長くお使いいただく仕組みを選んでいただく以上、その判断が確かなものになるまで、誠実に伴走します。


検討に使える資料

上の1〜3で使う資料に、背景となる考え方をまとめた2点を加えた5点を、まとめてダウンロードいただけます。

  • システム要件一覧の作り方 ── 740項目以上の要件一覧に「必要性」と「現在の課題」を記入していただく進め方(PDF・11ページ)
  • 次期基幹システム(ERP)選定 評価ガイド ── 評価基準・RFP・TCO算定を1つにまとめた選定のフレームワーク(PDF・27ページ)
  • PL改善ROI 算定の手引き ── 累計ROI・回収期間・NPV・IRRを根拠のある数字として組み立てる手引き(PDF・12ページ)
  • AI時代の働き方の変革と、これからのERPの要件 ── 仕事の重心が移るとき、基盤の側に何が必要になるか(PDF・10ページ)
  • 生産性向上を実現するタレント・オリエンテッド経営フレームワーク ── モチベーション・権限と責任・エンタープライズアプリケーションの3要素(PDF・14ページ)

5点の資料をダウンロードする


あわせてご覧ください

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