卸売業・商社のERP ── 在庫と与信と粗利を、取引の流れの中で押さえる

卸売や商社では、仕入れて売るという形の裏で、在庫と与信と粗利という3つが同時に動きます。どれか1つを別の場所で管理すると、そこから採算が見えなくなります。この記事は、卸売業・商社で繰り返し現れる管理の課題と、RobotERPツバイソでそれをどう扱うかを、機能に即してまとめたものです。専門商社、機械・部品の卸、食品・消費財の卸、輸入商社、専門流通のいずれでも、在庫が資金を縛り、取引先ごとの粗利で採算が決まる点は共通します。個別のお客様に触れず、この業種に共通する型として扱います。
この業種で繰り返し起きる5つの課題

1. 在庫の数と、帳簿の数が合わない
倉庫の実際の数とシステム上の数がずれます。受入・出荷・返品の記録が抜けると、棚卸のたびに差異を調べる作業が発生します。在庫金額は決算の数字でもあるため、この差異は監査の指摘にもつながります。
2. 在庫が資金を縛っていることが、数字で見えない
在庫は買った瞬間に資金へ変わります。ところがどの品目がどれだけ滞留しているかが分からないと、追加の仕入れを止める判断ができません。売れている品目と、置いてあるだけの品目が、同じ「在庫」として一括りにされます。
3. 取引先ごとの粗利が、後からしか分からない
同じ品目でも、相手によって売値が違います。仕入の単価も時期で動きます。この2つが別々の表にあると、粗利は月次を締めてからしか出せません。値引きの積み重ねで粗利が落ちていることに気づくのも、そのぶん遅れます。
4. 与信の管理が、担当者の判断に委ねられている
取引先ごとの限度額を決めていても、現在の売掛残がいくらで、限度に対してどこまで使っているかが受注の場面で見えないと、限度を決めた意味が薄れます。回収が滞っている取引先へ、そのまま出荷が続くことも起こります。
5. 外貨の取引が、国内の取引と別に管理される
輸入や海外への販売がある場合、外貨建ての取引が発生します。外貨の取引が別の表で管理されていると、品目や取引先の採算に突き合わせられません。為替の影響が粗利のどこに出ているのかも分かりません。
RobotERPツバイソでの解決方法

在庫は、受入と払出の記録から積み上げる
ツバイソIMAでは、在庫が動く経路を3つに整理しています。仕入の検収で増え、売上の納品で減り、それ以外の調整は入出庫として記録する ── この3つです。棚卸の差異調整、倉庫間の移動、廃棄も、すべて入出庫として自動的に記録されます。
在庫は倉庫・棚・ロットの単位まで持てます。どの倉庫のどの棚にいくつあるか、どのロットが残っているかが、帳簿の側で分かります。受払の履歴が残るため、差異が出たときにどこで生じたかを追えます。
在庫品の評価方法は、商品・サービスごとに移動平均法・標準原価法・評価しない のいずれかを選べます。品目ごとの在庫数量と移動平均単価は、受払のたびに更新されます。
滞留している在庫を、数字で分ける
月次の在庫サマリーを品目×会計年月で持ちます。動いている品目と、置いてあるだけの品目が、同じ表の中で数字として分かれます。受払の履歴が残るため、最後に動いたのがいつかも追えます。
在庫金額は移動平均単価から出るため、滞留している在庫がいくらの資金を止めているかを、そのまま金額で示せます。追加の仕入れを止める判断の材料になります。
仕入と販売を、1本の線に通す

売上プロセスは商談連携・見積・受注・納品・請求・入金予定・売上、調達プロセスは調達依頼・見積依頼・発注・検収・仕入経費・支払・支払予定まで、同じ取引先・案件の下に一続きで並びます。
受注を承認すると納品が自動で作られ、納品日と検収日を入れて締めると、請求と売上が自動で作られます。入金予定は請求から起こします。同じ内容を伝票のたびに打ち直す工程が消えるため、件数が多いほど差が大きくなります。
売値は価格表で持ち、取引先ごとに割り当てる
ツバイソPSAは価格表を持ち、取引先ごとにどの価格表を適用するかを割り当てられます。見積や受注の明細は、その取引先に割り当てた価格表から起こせます。単価を1件ずつ調べて転記する必要がありません。
価格の改定は、新しい価格表を用意して取引先への割当を切り替えて行います。価格表も割当も適用期間を持つため、いつからどの価格表を使っていたかが記録として残ります。
与信を、取引の流れの中に置く
取引先ごとに与信の申請と限度額を管理でき、与信残高が取引先の情報として保持されます。限度額と現在の債権の状態が同じ基盤にあるため、受注の場面で両方を同じ画面から確認できます。
限度を超えたときに受注や出荷を止める運用が必要な場合は、承認プロセスや入力規則として組み込みます。標準の機能は状態を見せるところまでで、止めるかどうかは会社ごとの判断になります。
返品を、販売と仕入で同じ形で扱う
販売の返品と仕入の返品を、同じモデルで扱えます。返品申請から受領・検品までの流れがあり、返品のポリシー(可否・返品料金・受付期間)を取引先や商品ごとに設定できます。返品も在庫の受払として記録されるため、返ってきた分が帳簿から抜け落ちません。
外貨の取引を、同じ流れの中に置く
通貨と為替レートをマスタで持ち、商品の価格を外貨でも保持できます。為替予約の契約内容(予約レート・予約額・対象期間)もマスタとして登録できます。
外貨建ての仕入と販売が、国内の取引と同じ基盤に並ぶため、品目や取引先の採算と切り離されません。円貨に換算した金額が同じ管理会計の表に載るため、外貨の取引を含めた粗利を1つの表で見られます。
仕入先とのやりとりは、電子取引で相手側に登録していただく
仕入の管理が重くなる理由の多くは、相手から届いた紙やPDFを自社システムへ再入力する工程が、毎月残っていることにあります。ツバイソ電子取引を使うと、仕入先は見積・納品・請求をご自身で登録でき、その内容は発注に紐づいた状態で入ってきます。仕入先にご登録いただければ、受け取る側の作業は確認と承認に寄せられます。
電子取引でやりとりした書類は、そのままデータとして保存されます。電子帳簿保存法が求める電子取引データの保存にも、この流れの中で対応しています。
管理会計 ── 見積を作った時点で、月次の損益計画が立つ

見積を保存すると、管理会計に「予定」として計上される
見積の明細を保存すると、その内容が管理会計へ自動で計上されます。商品・サービスのマスタに収益の計上根拠と勘定の対応を設定しておくことが前提です。しかも収益の計上根拠に応じて、どの月に計上するかまで決まります。
- 納品時に計上する取引 ── 納品予定日の月に、見積金額をそのまま
- 月額の保守・サービス契約 ── 計上開始予定日から、金額を期間の月数で割った額を毎月
- 数量が確定してから計上する契約 ── 見込金額を期間で割った額を毎月
売上だけでなく原価も同時に計上されます。つまり見積を作った時点で、月ごとの売上・原価・粗利の見通しが立ちます。表計算で損益計画を組み直す作業が要りません。
予定と実績が、同じ表の同じ軸に並ぶ
案件が進むにつれて、受注・納品・発注・検収が「予定」として積み上がります。そして売上・仕入経費・工数・経費精算が「実績」として、同じ表に入ります。
並ぶ軸も同じです ── 計上月・案件・取引先・部門・商品サービス、そして自社で定義したセグメント。予定と実績が同じ軸に並ぶため、予実の比較に集計作業が要りません。
見えるのは売上高・売上原価・売上総利益・営業利益です。制作原価は材料費・労務費・経費(外注費を含む)・製造間接費に分かれるので、「仕入の単価が上がっている」のか「販売の値引きが増えている」のかを切り分けられます。
案件の予実と、部門の予実
案件には粗利予算・総費用予算・粗利率予算を設定でき、月次推移でどの月からずれ始めたかまで追えます。原価の予算は制作指図の単位で、制作予算・調達予算・制作間接費予算に分けて置けます。
部門の単位では、予算プラン(当初予算・修正予算といった複数の版)を登録しておくと、実績の積み上がりと予算を合わせて当期の着地を見通せます。
受注の見込み
案件ごとに受注の目標金額と確度を設定でき、期待受注額(目標×確度)が自動で算定されます。受注プロセスへ進んだ案件は確度100%として扱うため、確度が更新されないまま残っている案件を一覧で識別できます。
会計まで一気通貫であることの意味

ツバイソPSAはツバイソERPとAPIで連携し、債権債務管理・財務会計・管理会計まで一続きにつながります。案件の数字と決算の数字が同じ基盤から得られるため、管理会計のために別途集計する工程が要りません。
卸売では、在庫がそのまま決算の数字であり、同時に資金の状態でもあります。受入・払出の記録が会計まで一続きであれば、棚卸資産の評価と取引先別の採算が同じ出どころから出ます。
ツバイソPSAはSalesforceの基本機能を含む形でご提供しており、Salesforceを別途ご購入いただく必要はありません。商談から先の業務プロセスが同じ基盤の上に乗ります。
AIから自然言語で扱える

2026年に提供を開始したTsubaiso Intelligenceは、画面を介さず、お使いのAIから自然言語でRobotERPツバイソを操作できる仕組みです。
前の節で見た管理会計の表は、そのままAIに問える対象になります。「この品目の在庫はいまいくつか」「粗利率が落ちている取引先は」「与信の限度に近づいている先は」といった問いに、AIが実データを引いて答えます。
レポートをあらかじめ用意しておく必要がありません。予実の表は軸が多く、見たい切り口はそのつど変わります。問いの形で聞けることは、この点が大きな違いです。
品目と取引先の数が多いこの業種では、掛け合わせた瞬間に軸が増えます。品目別、取引先別、倉庫別、担当者別 ── 見たい切り口の数だけレポートを用意するのは現実的ではありません。
利用者の評価
RobotERPツバイソを実際にお使いの方が投稿した評価を、ERP・基幹システムの口コミ・評判でご覧いただけます。顧客と取引を軸に業務が動く会社からのレビューです。
検討の進め方

基幹システムは、一度導入すると長期にわたって使い続けるものです。その重さに見合う検討ができるよう、順序と道具を用意しています。製品のご説明に入る前に、次の6段階の進め方をご用意しています。
- 要件一覧で、要件をまとめる
当社が導入実績から体系化した740項目以上の要件一覧に、「必要性」と「現在の課題」を記入していただきます。在庫の持ち方と与信・請求の締めに関わる要件を先に見ていただくと、進みが早くなります。当社は各項目の対応区分と説明を回答し、標準機能との適合率を算定してお返しします。記入の進め方についてもご相談を承ります。ご提供はNDA締結後に承ります。 - ERPの選定基準をつくる
提案を比較するための評価ガイド、RFPテンプレート、採点シートをお渡しします。用語の定義を最初に揃えることで、各社の回答が同じ粒度で並びます。とくに重要なのが「カスタマイズをどの方式で実装するか」という軸です。同じ「カスタマイズできます」という回答でも、製品の中核を書き換えるのか、プラットフォームの上の設定として持つのかで、長期の総所有コストは大きく変わります。この違いが評価に載るかどうかで、選定の質が決まります。 - ROIを算定する
要件一覧で「必要性が高く、いま課題がある」とされた項目には、損益改善のシナリオが紐づいています。そこから年間の改善見込み額を積み上げ、初期・運用・将来のコストと突き合わせて、累計ROI・回収期間・NPV・IRRを算定します。稟議に載せられる形の根拠が揃います。 - デモで、実際の動きを見る
実際の証憑や、現在ご利用中のExcelをご提供いただき、AIがデータを整理し、取り込む様子をご覧いただきます。カタログではなく、お客様のデータで実際の動きを確かめていただく場です。 - トライアルで、自分たちで触る
30日間、実際の操作をお試しいただけます。お申し込みの手続きについても、あわせてご案内します。 - PoCで、小さく確かめてから決める
実データで効果を検証します。ここで作った設定とデータは、そのまま本番へ引き継げます。PoCの結果を確認したうえで本格導入の形を選べるため、判断材料が揃った状態で意思決定していただけます。
この順序には理由があります。要件が固まっていなければ選定基準は作れず、選定基準がなければROIの前提が置けません。順序を踏むほど、後続の判断が確かなものになります。
基幹システムの入れ替えは、日常の業務改善とは頻度も影響範囲も異なる意思決定です。当社がここで担っているのは、製品の説明よりも前に、何をどの順で決めるか、部門をまたぐ要件をどう束ねるか、社内の合意をどう積み上げるかという進め方そのものです。長くお使いいただく仕組みを選んでいただく以上、その判断が確かなものになるまで、誠実に伴走します。
検討に使える資料
上の1〜3で使う資料に、背景となる考え方をまとめた2点を加えた5点を、まとめてダウンロードいただけます。
- システム要件一覧の作り方 ── 740項目以上の要件一覧に「必要性」と「現在の課題」を記入していただく進め方(PDF・11ページ)
- 次期基幹システム(ERP)選定 評価ガイド ── 評価基準・RFP・TCO算定を1つにまとめた選定のフレームワーク(PDF・27ページ)
- PL改善ROI 算定の手引き ── 累計ROI・回収期間・NPV・IRRを根拠のある数字として組み立てる手引き(PDF・12ページ)
- AI時代の働き方の変革と、これからのERPの要件 ── 仕事の重心が移るとき、基盤の側に何が必要になるか(PDF・10ページ)
- 生産性向上を実現するタレント・オリエンテッド経営フレームワーク ── モチベーション・権限と責任・エンタープライズアプリケーションの3要素(PDF・14ページ)
あわせてご覧ください
- プロフェッショナル・サービス・オートメーション(PSA) ── 機能とライセンスの詳細
- Tsubaiso Intelligence ── AIから自然言語で操作するERP
- ERP導入の流れとスケジュール例
- ERP導入 ── 選定・要件定義・Fit to Standard・カスタマイズの判断
- ERP・基幹システムの口コミ・評判 ── 利用者のレビュー

