Fit to Standard Agileを成功させるERP選定のポイント
皆さん、こんにちは。印具です。
前回は、Fit to Standard Agileの概要とメリットについて解説しました。
今回は、Fit to Standard Agileを成功させるためのERP選定のポイントについて詳しく解説します。
Fit to Standard Agileでは、標準機能への適合を重視するため、ERP選定が非常に重要になります。
なぜなら、ERPの標準機能が業務プロセスに合致していることが、Fit to Standard Agileを成功させるための前提条件となるからです。

目次
- 選定ポイント1:業務プロセスの粒度
- 選定ポイント2:マスタ設計
- 選定ポイント3:UI(ユーザーインターフェース)
- 管理会計の粒度
- その他の選定ポイント
- まとめ
- この記事の前後と、関連する記事(2026年8月 追記)
選定ポイント1:業務プロセスの粒度
- ERPの業務プロセスが細かく分解されているかを確認しましょう。
- 細かく分解されているほど、標準機能を活かせる可能性が高まります。
- 機能を統合するカスタマイズは容易ですが、不足機能を分解・追加開発するのは困難です。
- 自社の業務プロセスとERPの機能を詳細に比較し、適合性を確認しましょう。
- 特に、業務間の関係性が1:nの構造が取れるかを確認しましょう。
- 1:1の構造しか取れないシステムは、硬直的で、実際の業務プロセスに適合しない可能性があります。
- 1:1の構造をカスタマイズで変更することは難しいことが多いです。
選定ポイント2:マスタ設計
- マスタ設計はシステムの根幹であり、柔軟性と拡張性を左右します。
- システム全体に関わるマスタの拡張は、カスタマイズでは困難な場合が多いです。
- 将来的な事業の変化や拡張に対応できるよう、マスタ設計の柔軟性を重視しましょう。
選定ポイント3:UI(ユーザーインターフェース)
- UIは、後からカスタマイズで変更しやすい部分です。
- 選定段階では、UIの重要度は低く、業務プロセスへの適合性を優先しましょう。
- 必要に応じて、画面項目を減らしたり、表示方法を変更したりすることができます。
管理会計の粒度:
- 明細レベルでの詳細な管理が可能なシステムを選びましょう。
- 管理粒度が見出しレベルまでだと、管理会計に必要な詳細な情報が得られません。
- このような機能不足をカスタマイズで補うことは困難です。
その他の選定ポイント
- ベストプラクティスに基づいた設計・機能を備えているか
- 将来的な拡張性や疎結合な開発をサポートする設計・機能を備えているか
まとめ
Fit to Standard Agileを成功させるためには、ERP選定が非常に重要です。
上記の選定ポイントを参考に、自社の業務プロセスに合致したERPを選び、Fit to Standard Agileのメリットを最大限に活かしましょう。
この記事の前後と、関連する記事(2026年8月 追記)
この記事は2025年2月に書いたものです。ここまでの流れは、前の2本にあります。
この記事は「カスタマイズで補うのは難しいから、選定の段階で確かめておく」という組み立てになっています。その前提のうち、カスタマイズの側はその後大きく変わりました。2026年8月に提供を開始したTsubaiso Intelligenceでは、項目・画面・承認ワークフロー・業務のロジックの追加をAIが組み立て、組織へ反映する直前に人が承認します。着手前には既存の作りとの競合を診断し、加えた拡張の仕様はAIが読み取って書き起こすため、拡張を重ねても中身を追えるままです。
ただし、選定で確かめる順序そのものは変わっていません。業務プロセスの粒度・マスタ設計・管理会計の粒度は製品の骨格にあたる部分で、後から積み上げて作れるものではないからです。変わったのは骨格の上に載せる側で、そこが軽くなったぶん、選定では骨格の見極めに集中できるようになった、と読むのが実態に近いと考えています。
構造そのものを扱った記事と、導入の進め方を工程で示した記事もあわせてご覧ください。
ツバイソ株式会社
代表取締役 CEO 印具 毅雄(イング タケオ)
公認会計士、税理士
広島生まれ、福岡育ち。中学生の頃からパソコン、プログラミングが好きで、N88-BASICやマシン語に親しむ。大学、大学院では、AI関連技術のニューラルネットワーク、ファジィシステムとともに遺伝的アルゴリズムの改善研究をC言語で行う。
1999年、修士(芸術工学)。日本知能情報ファジィ学会論文賞受賞「単峰性関数当てはめによるGA(遺伝的アルゴリズム)収束高速化」
インターネットベンチャーを立ち上げるべく、経営の勉強のために公認会計士を取得(公認会計士二次試験2000年合格、登録番号19193)。監査法人トーマツ(Deloitte)を経て、2006年にブルドッグウォータ株式会社の創業、事業開始。
2015年、同社よりRobotERPツバイソ事業を会社分割し、ツバイソ株式会社を設立。

