ERP導入で陥るカスタマイズのワナ ── フィットギャップに要注意
ERPパッケージを導入する際、「Fit to Standard」を重視するものの、蓋を開けてみると機能要件の適合度が低く、結局カスタマイズに頼ってしまうケースをよく見かけます。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
今回は、ERPのカスタマイズに潜む落とし穴について、私の経験を踏まえて解説します。

目次
- なぜフィットしないパッケージを選んでしまうのか?
- なぜカスタマイズをしてしまうのか?
- 本当に必要なのは「経営課題の整理」
- ベンダーのサポートは万能ではない
- まとめ
- この記事について(2026年8月 追記)
なぜフィットしないパッケージを選んでしまうのか?
- 「とりあえず有名だから」 知名度だけで選んでしまい、自社の業務要件との適合性を深く検討していないケース。
- 「デモで見た機能が良さそうだったから」 一部の機能に惹かれてしまい、全体像を把握しないまま導入を決めてしまうケース。
- 「価格だけで選んでしまう」 初期費用を抑えようと安価なパッケージを選び、結果的にカスタマイズ費用がかさんでしまうケース。
なぜカスタマイズをしてしまうのか?
- 「理想の業務フローを実現したい」 既存の業務フローを変えずに、パッケージに合わせようと無理なカスタマイズをしてしまうケース。
- 「現場の意見を反映したい」 現場からの要望をすべて取り入れようとして、必要以上のカスタマイズをしてしまうケース。
- 「ベンダーの営業トークに流されてしまう」 「どんなカスタマイズにも対応できます」というベンダーの言葉に惑わされてしまうケース。
本当に必要なのは「経営課題の整理」
ERP導入を成功させるためには、業務要件だけでなく、経営課題を明確にすることが重要です。
「なぜERPを導入するのか?」「ERP導入によってどんな課題を解決したいのか?」をしっかりと整理することで、本当に必要な機能が見えてきます。
ベンダーのサポートは万能ではない
ベンダーのサポート体制が充実していることも重要ですが、過度な期待は禁物です。
ベンダーの「手厚いサポート」という言葉を過信し、まるでカスタマイズも標準サポートに含まれていると考え、軽視してしまうと、将来に渡り大きな負債を負ってしまいます。実際には、標準機能の範囲外のサポートは限定的であり、カスタマイズは双方にとって負担が大きく、品質低下、最悪の場合はプロジェクト失敗につながる大きなリスク要因という認識が重要です。
まとめ
ERPのカスタマイズは、必要最低限に抑えることが重要です。
そのためには、
- 自社の業務要件と経営課題を明確にする
- 複数のERPパッケージを比較検討する
- ベンダーのサポート体制を過信しない
という点を意識することが大切です。
ERP導入は、企業にとって大きな投資です。
しっかりと計画を立て、慎重に進めるようにしましょう。
この記事について(2026年8月 追記)
この記事は2025年2月に書いたものです。ここに書いた「カスタマイズは必要最低限に」という考えは、いまも変えていません。ただし、そう言わざるを得なかった理由のほうは変わりました。従来のERPでは、標準に無いものを足すたびに見積・設計・実装・保守がベンダー側にぶら下がり、しかも何をどう変えたのかが誰にも一覧できなくなる。積むほど動かせなくなるから、最小限に抑えるしか守り方が無かったわけです。
2026年8月に提供を開始したTsubaiso Intelligenceは、この2つを別々に軽くします。項目・画面・承認ワークフロー・業務のロジックの追加はAIが組み立て、組織へ反映する直前に人が承認します。着手前には既存の作りとの競合を診断し、加えた拡張の仕様はAIが読み取って書き起こすため、拡張を重ねても中身を追えるままです。とはいえ、これは「経営課題の整理を省いてよい」という話ではありません。何を解決したいのかが決まっていなければ、足すものの当たり外れは変わらないからです。
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ツバイソ株式会社
代表取締役 CEO 印具 毅雄(イング タケオ)
公認会計士、税理士
広島生まれ、福岡育ち。中学生の頃からパソコン、プログラミングが好きで、N88-BASICやマシン語に親しむ。大学、大学院では、AI関連技術のニューラルネットワーク、ファジィシステムとともに遺伝的アルゴリズムの改善研究をC言語で行う。
1999年、修士(芸術工学)。日本知能情報ファジィ学会論文賞受賞「単峰性関数当てはめによるGA(遺伝的アルゴリズム)収束高速化」
インターネットベンチャーを立ち上げるべく、経営の勉強のために公認会計士を取得(公認会計士二次試験2000年合格、登録番号19193)。監査法人トーマツ(Deloitte)を経て、2006年にブルドッグウォータ株式会社の創業、事業開始。
2015年、同社よりRobotERPツバイソ事業を会社分割し、ツバイソ株式会社を設立。

